印刷業界のビジネス分析

決算・IR・公的統計といった一次資料を編集部が読み、印刷業界の経営環境を分析するシリーズです。

同じ半年で利益率を上げた16社は、何を開示していたか — 中間決算の読み比べ

平均を見ているかぎり分からないのは、同じ環境で利益率を上げた会社が何をしたのかである。中間期の営業利益率が1.0ポイント以上上がった会社を機械的に抽出すると16社が該当した。増収で上げた13社と、減収でも上げた3社。一過性の改善と構造の入れ替えを切り分ける4つの問いを、決算の数字から導く。

機械が売れなかった半年 — 印刷機材メーカー5社の中間決算が示す設備投資の温度

機材メーカーの売上には、印刷会社が「買う」と決めた時点の判断が現れる。3月期の機材5社の中間期を集計すると、営業利益率は10.83%から8.21%へ落ちていた。上場39社全体の営業利益の減少239億円のうち219億円がこの5社である。ただし1社だけが逆に上げている。層の平均は個社を説明しない、という読み方まで書く。

紙が減っても板紙は減らない — 製紙9社の中間決算と、用紙の仕入の行方

「製紙業界は縮んでいる」という筋書きは半分しか当たっていない。減っているのは印刷物に使う洋紙で、物流に使う板紙は減っていない。3月期の製紙・板紙9社の中間決算を並べると、洋紙系はそろって減収する一方、減収でも利益率を上げた会社がある。装置産業で稼働率が利益率を決める構造から、銘柄の統廃合が続く前提で仕入をどう構えるかまで整理する。

インキの値上げは、いま誰の利益になっているか — 12月期11社の中間決算を読む

「原材料価格の高騰により」という一文が何年も繰り返されている。では供給側の採算は実際どうなのか。12月期決算のインキ・材料11社の中間決算を集計すると、営業利益率は5.12%から6.89%へ上がっていた。ただし増加282億円のうち249億円は1社が作っている。平均が動いたら金額に戻す、という手順を通して読む。

利益率が落ちたのは印刷会社ではなかった — 上場39社の中間決算で見る業績の分かれ目

決算は通期だけを見ていると、変化が半年遅れて届く。3月期の上場39社の中間期を横断で集計すると、売上はほぼ横ばいのまま営業利益率だけが4.85%から4.42%へ落ちていた。金額に戻して誰が動かしたのかを特定すると、239億円の減少のうち219億円は機材5社で起きている。印刷会社12社はむしろ増収で利益率も上げた。

増収なのに、なぜ利益率は戻らないのか — 上場39社の決算で見る印刷業界の業績

上場している印刷・紙・機材の39社を有価証券報告書から集計すると、売上は5年で2割増えている。それでも経常利益率は5年前に戻っていない。層に分けると、利益率を落としているのは印刷会社ではなく紙・材料の層だった。決算の読み方から、自社の数字の当て方までを扱う。